ここがヘンだよ日本のアニメ業界

アニメ会社で働きながら考えたことを書いていきます

アニメの売り上げの仕組み/どんどん複雑化していってるね

前回DVDの売り上げについて書いたので、今回はアニメがどうやって収益を得てるのかについて書いてみます。
 
今のアニメは製作委員会方式で作られています。
 
複数の会社がお金を出し合って1つの作品を作るということですね。
エヴァンゲリオンで確立したというアレです。
 
そしてその出資割合によって、売り上げからの配当比率や持てる権利が変わってきます。
 
音楽会社だったら、サントラとか主題歌とか声優によるキャラソンとか音楽に関する権利です。
カード会社だったら、カードゲーム化の権利ということです。
おもちゃ会社だったら、そのおもちゃ化の権利です。
出版社であれば、その作品に関する出版権ですね
出版社の場合はそもそも原作を持ってることも多いので、その場合は原作の宣伝になるからということですね。
 
要はそれぞれの会社が、そのアニメで自社の商品を展開したいからとか宣伝したいからアニメにお金を出すということです。
 
だから究極的にはDVDが全く売れなかったとしても、主題歌が売れたり、グッズが売れたり、原作本が売れればスポンサードしてる会社的には問題が無い訳です。
 
ここ最近増えてきた、アニメの制作会社も製作委員会に入ってる作品は、ある程度資金に余裕がある会社で尚且つヒットが見込める作品で、さらに何がしかの権利をもってそれを展開することができる会社ということですね。
 
某関西にある会社なんかは、自社で出版レーベルまで作って原作権を抑えた上でアニメを作ってるので上手いことやってますよね。
もちろん高いクオリティで安定して作品を作ることが出来、その会社に対して多くのファンが付いているからできることです。
 
つまり、現在のアニメはDVD等での売り上げだけではなく、音楽・出版・グッズ・イベント展開等全て含めた総合的なビジネスとして成り立っている訳です。
 
昔は1社単独スポンサードでおもちゃの宣伝用だけとかだったのが、現在はリスクを分散して各社の得意分野で利益を上げられるようにより複雑化してるということです。
 
声優をアイドル化するのも、ファンを増やしてそこで利益を上げられるようにということですね。
 
これが何を意味するかというと、1社でアニメを宣伝として作れるだけの力のある会社が無くなったということ。
これにはいろんな背景があるかと思います。
 
・趣味嗜好の多様化
・それによるテレビ離れ
・TVシリーズでの商品の宣伝効果の低下
・デフレ、不況による若者の低収入化
・バブルの頃の車やファッション、アウトドアスポーツ離れ
・個人で自宅でも楽しめるオタク趣味
・オタク人口の増加
・声優やそのキャラソンが商品として成立するようになった
・結婚年齢が上がったり、そもそも結婚しない人が増え、趣味に使えるお金と時間の増加
 
ざっと思いついただけでこんなものですね。
 
アニメ業界の現在のビジネスモデルは多分持ってあと3年ぐらいだと思います。
体感的な感覚ですが。
 
アニメを宣伝に使ったサービスや商品が増えているのも、そういったタイアップ的なことをしないとお客さんがつかないからということだと思います。
 
いやぁ、いろんなことがどんどん複雑化して大変ですね。