ここがヘンだよ日本のアニメ業界

アニメ会社で働きながら考えたことを書いていきます

このままでは日本のアニメ産業は無くなってしまう/日本のアニメ業界の抱える問題(1)

このままでは日本のアニメ業界ヤバイと思うことがあります。

 
■商業としての将来性
■人材について
 
いろんな問題がありますが、大体この2つに集約するんではないかと。
 
まず、このうちの商業としての将来性について考えてみます。
 
日本のアニメってほとんどが若い人に向けたものなんですよ。
しかもその多くがいわゆるオタク向けの作品。
別にそれでもいいと思うんですが、それは毎年同じぐらい子供が生まれてればの話。
少子高齢化が進む日本社会で、若い人向けの作品ばかり作っていたらいずれはジリ貧になることは誰でもわかります。というかすでになりつつあるし。
結局、見てもらう為に安易なエロに走ってるのが現状です。
意欲的な作品を作ったところで、会社としては売れなきゃ意味がないし。
最近だと個人的には「惡の華」とか映像的にもストーリー的にも面白いと思うんだけど、売上的には「インフィニット・ストラトス(I・S)」の方が圧倒的な訳ですよ。
I・Sはそれはそれで安心して見られて悪くはなかったけど。
 
かと言ってクオリティを売りにしようにも、ファンも目が肥えてきてるし、度肝を抜くようなクオリティなんか大半の会社は出せないし、仮に出せたところで売上げはI・Sの方が上ですよ。
ギルティクラウン」も「忘年のザムド」も「グレンラガン」も「電脳コイル」も「キルラキル」も軒並み「I・S」に売上で勝てないって…。「悪の華」なんか言わずもがな…。
まあ原作付きとオリジナルの違いはありますが。
 
人気が取れるのは「進撃の巨人」「鋼の錬金術師」「デスノート」「物語シリーズ」「Fateシリーズ」とかの原作人気が確立してる作品ばかりですね。
人気のある原作を担当できなかった会社はエロに走りがちになるという構図になる訳です。
まあエロに走るのは究極的には別に良いです。
 
ここでの問題点は40代以降とかファミリー層に向けた作品がほとんど無いということ。
上で挙げた人気作品もある程度若い人に向けたものばかりです。
 
これから日本は超高齢化社会に入っていく訳です。さらに言うならどんどん若者の数は減っていっています。
その時に今と同じテイストの作品ばかり作っているとどうなるかということです。
 
・業界全体としての売上が減る
・多くの会社が倒産
・技術者の海外等への流出
・生き残った会社も業績の悪化
・競争の激化
・悪条件での仕事の受注
・待遇の今以上の悪化(業務内容や勤務時間etc)
・さらなる人材の流出
 
こんなところかな。
 
もうちょい深く考えてみると実際の問題は、40代以降とかファミリー層で楽しめる作品が無いことではなく、そういった作品でマネタイズする仕組みが無いことと、マネタイズする仕組み作りに挑戦するだけの体力のある会社がないことなんですけどね。